中堅冒険者の苦悩
「え? いや、なんて? ぱ、ぱい?」
「え、えと、パイズリ、です……」
「…………、……はあ、パイズリ?」
「えと、おっぱいで、ですね? おちんちんを挟んで、こう、すりすりってすることです」
「胸で」
「はい」
「男のを」
「はい」
「それをパイズリって言うの」
「うー、えと、わたしたちは、えと、そう、呼んでます」
「……それの練習がしたいと」
「そうです」
「俺で」
「は、はい」
「……。……、…………なぜ」
「えっ、えと、その、助けて、くれましたし、その、優しそうなので」
「なんなら、パイズリの練習もさせてくれそうだと」
「そうです」
「なるほど、なるほどね」
こいつは何を言っているのだろうか。
俺は鼻の付け根あたりを指で揉みほぐしながら、ぐっと目を閉じる。
女性冒険者と間違えてサキュバスを魔物から助けてしまったのは俺の落ち度だろう。これだけぶかぶかなローブを着ていたら正直見分けはつかない。悲鳴も若かった。襲われているのが若い女の子であれば、下心ついでに人命救助は男のサガというやつだ。
曰く、淫命救助になったが。
「君は」と俺は目を開ける。「こんなところで何を?」
「わっ、わたしはテテアといいます!」
「テテアちゃん。ご丁寧にありがとうね。あんまり人間に名乗るもんじゃないと思うけどね」
「あ、そうか。えと、えと、名前はまだない、です!」
「うん、まあいいやそのくだりは。それで、ここで何をしていたのかな?」
「パイズリの、修行、ですかね?」
「パイズリの修行」
「そのはず、ですよね?」
「俺に聞かれてもたぶんわからないかな」
「修行、です!」
「パイズリの?」
「はい!」
「こんな洞窟で」
「はい!」
「誰を相手に?」
「えと、えと、その、お兄さんを」
「…………うん? 俺? 俺に会ったのは今だよね。もし会ってなかったら?」
「えへへ」
「いやっ、ぜんぜん、なにも、赤くなるところじゃないけどね。会ってなかったら誰を相手に修行するつもりだったのかな。街とかに出向いたほうが、人間の男はたくさんいると思うけど」
「…………?」
「えーーーーーーっと、パイズリのれんしゅーがしたいなら、にんげんの、おとこのひとが、たくさんいるところに、いったほうがいいんじゃないかな?」
「えと、お兄さんは、えと、練習、させてくれますか?」
「オッケーーー! わかった。わかったわかった」
「ほんとですか!」
「あ、いや違う。そのわかったじゃない」
「ちがう、ですか……?」
「ごめんな、ちょっと、いままで人の言葉でしか会話したことなかったもんで」
「……? ……? 私、ひとの言葉、話せてないですか?」
「オークの方が意思疎通が簡単かな」
「オークさん? ……そうですかー」
はあ、となにやら納得した様子を見せる淫魔は、賭けてもいいが、おそらく何もわかっていない。
さてさて、この、天敵のいない草原でお日様に大事に育てられたつくしみたいな淫魔をどうするべきか。
見たところ人間にすれば歳は十五、六といったところか。身長からすればそのくらいの年齢に思われるが、かなりの童顔であるのと言動が相まってものすごく幼く見える。長いまつげや黒々とした大きな瞳はまさしく男好きのする淫魔の容姿といった感じだが、頬や鼻筋が丸っこいのがその理由かもしれない。
艶のある黒髪は量が多く、ローブから溢れ出ている長さから察するに、後ろ髪は背中か腰くらいまではありそうだ。悪魔にしては髪や瞳の落ち着いた色合いが、かなり人間っぽさを増長している。
この子がもし人間だとして、俺から見ても可愛いかというと。
まあ、なんだ。
正直、めちゃくちゃ好みだ。
「えと、えと、……うーん、どこでしますかね?」
サキュバスは大きな黒い瞳をくりくりさせながら、自らの頬に人差し指を添えた。
そうか、仕草まで幼いんだ、コイツ。
「……どこで? 何を?」
「えと、ここだと魔物さんがいるので、外ならいいと思います!」
「君も魔物だけどね。外で何をするって?」
「……? すいません、お兄さんはもしかしてテテアよりも頭が悪いんです?」
「は?」
「えと、もういっかい言うと、パイズリの練習です」
「それは聞いたよ」
「……? ……? お兄さんはだいじょうぶな人です?」
「おまえっ、……おまえ、いや、ああ、もういいや。そう、俺は頭が悪い。それで、パイズリとやらの練習はいつ決定事項になったんだ?」
「えっ、えっ? だって、だって、さっきお兄さんが言ったじゃないですか」
「なんて」
「えと、お兄さんがその、パイズリの練習、あんまりさせてくれなさそうだったので、テテアが『やっぱりだめですかあ?』って聞いたら、『いや違う、そっちのダメじゃない』って。ってことは、ってことは、おっぱいでするのは、いいってことですよね!?」
「……あれ? いやまあ、そう言ったことにはなるのか……?」
「テテアの思ったとーり、お兄さんは優しい人ですー!」
「…………あれ? 言ってないよな? 言ったっけ? うん?」
「しゅっぱつです! ちゃんと付いて来てくださいね! テテアは出口がわかるくらい賢いんです!」
ぶかぶかローブのサキュバスはふんと息を荒げて、迷うはずもない一本道をずんずんと歩き始めた。
「お、おい」
俺は仕方なくその背中を追う。
いや、パイズリとやらをしていい、なんて言ったか?
言ってないよな? 言ってないんだが?
「えと、この辺でもテテアはかまわないですよー?」
「なんで上から目線なんだ」
見通しの良い平原をさらさらと風が撫でていく。
宿を出てきた時よりも太陽は高く、迷子のような白い雲がぽつんと浮かんでいる。黒髪のサキュバスは大きな木の陰で気持ちよさそうに伸びをした。
あつらえたように丘の真ん中で一本だけずんと立つ大木。このセーフティエリアでも目印にされやすく、たまに冒険者たちが待ち合わせをしていたりする。なんなら、このあたりで活動してる界隈では“世界樹”になぞらえて“デカイ樹”という呼び方で通っていたりもする。
「えへ、えへへ」
サキュバスはなぜかローブに口元を隠しながら、もじもじとする。
「なんだ、気持ち悪いな」
「えっ、えと、だって、嬉しいなあって、思いまして」
「練習が?」
「そうですっ! あ、すぐに脱ぎますね、……あっ、もしお兄さんが嫌がる女の子を無理やり脱がしたいっていう人なら」
「はよ脱げ、どうでもいいが」
「はーい!」
彼女はもそもそとローブの裾をたくし上げ始める。
さて。
勢いでついてきてしまった。さくっと退治しよう。
俺はすらりと剣を抜く。
概念的な存在である悪魔種を完全に滅するのにはエクソシストの鍛練が必要になるが、あいにくと俺は小難しいことが苦手だ。そういった場合は適度に痛めつければ――――それこそ首でもはねれば裏世界には返すことができる。
ので、俺は、剣を振りかぶり。
ぷるんと揺れた肌色が。
「でっ」
軽く、想像を超えるサイズで。
とっさに、先ほどまで話していた幼げな容姿と、豊満すぎる体付きが結びつかず。
素肌を丸出しにしながらクネクネする謎のイキモノを、俺は眺め続ける。
「んんえ? あえ? はえ?」
サキュバスはなぜかローブを脱ぐのに苦戦し、首に引っかかった部分が抜けないまま右へ左へよたよたとよろめく。それに合わせてたわわな二つの膨らみも、ほとんど下着のような黒い布の中でふりんふりんと揺れた。
下着、と言い切っていい。面積的に。上下揃って黒の下着だ。
それは服ではない。ローブも服ではない。こいつはやっぱりいろいろおかしい。
しかし、ぶかぶかな布の下にこんな危険なモノを隠していたとは。
「んしょっ」
んばっと抜けたローブから、量の多い黒髪がふぁさっと落ちる。
「ああ、はあ、まいりました……」
恥ずかしそうに頬を染めながら、彼女は手ぐしでささっと髪を整える。
もっと別の部分をキチンとしたほうがいいと思う。
「えっ、あ、ひゃあっ、な、なんですか!?」
「え? …………あ、ああ」
サキュバスが露骨に怯え、俺は自分が剣を振る構えで固まっていたことに気づく。
ああ。
いかん、タイミングを見失った。
「れ、練習させてくれるって言ったのに! こ、この人殺し!」
「人殺し。まあ、お前が人間で、ちゃんと死ぬ存在なら確かにそうだな」
「ひゃああっ、やです! 痛いのやです! せっかくこっちの世界に来れたのに……っ!」
「…………」
サキュバスはほとんど裸の体をぎゅっと縮め、ぷるぷると震える。
彼女の両腕に押しつぶされた乳房は溢れそうな大きさで、おしりも意外と大きく、それを支える脚も太めで肉付きが良いくせに、良く見れば生意気にも滑らかなくびれもある。
涙を浮かべる少女の顔と、そのカラダがなんともアンバランスで。
はあ。
これで、それで、サキュバスか。
サキュバスかー。はあ。
「惜しいなあ」
「……っ!? …………?」
思わず口から出た言葉に、サキュバスは大きな目を恐る恐る開ける。
そのままぱちぱちと瞬きし、俺の顔をじっと見つめてくる。
「…………あ、どっきりですね? えと、それならさっそくパイズリを」
「切り替えがはええよ」
「やっぱり、お兄さんは優しい人ですから、そんな酷いことはしないですよね、信じていましたよー!」
「泣きそうな顔してたやつが何を」
「でもちょっと待ってくださいね、えと、先におっぱいの体操をしますのでー」
「話を聞け」
いしょ、よいしょ。
なにやら愉快な掛け声とともに、童顔のサキュバスはぎゅむっと乳房を寄せる。両手の中で縦に溢れた乳肉を、もてあそぶようにふるんふるんと波立たせた。
「……な、なにを?」
「…………」
いまにも鼻歌を口ずさみそうな様子で、寄せた乳房を上下に弾ませたり、互い違いに擦り合わせたりする。さっきまでうるさかった相手が黙ってしまったせいで、いやがおうでも意識がそこに向いてしまう。
胸部に纏う黒い布は、その中心に光る大きな金色の輪を左右に引っ張るような装飾になっている。輪の中は深い深い谷間が丸見えになっていて、それが彼女の手の動きに合わせてぐねぐねと歪んだ。
「……っ」
脱ぎ捨てたローブといい、衣類は大き目のサイズが好きなのだろうか。
胸元すらもなんだか緩そうで、あんまり動かしすぎるとイケナイ部分が見えてしまうか、下手をしたら全部こぼれてしまいそうだ。
……ああ、パイズリって。
こ、これで、男のを?
「な、なあ」と俺はいたたまれずに口を開く。「なにやってんだって」
「え? あ、えと、おっぱいの体操です」
顔を上げた彼女に、俺は少しほっとした。
「なんだ、おっぱいの体操って」
「えと、お手入れは大事ですから。テテアはまだまだ上手じゃないので、こうやっておちんちんを挟む準備をします。こうやって、ぎゅーーーってしたり、すりすりすりーってしたり、お兄さんも剣を振る練習とか、そういうのってしないですか?」
「……、いや、まあ素振りとかは」
「それですっ! おっぱいのすぶりです!」
「おっぱいのすぶり」
「すりすりの、ふりふりです」
「ちょっと意味変わってくるけど」
「えと、ですので、もう少し待っててほしいです」
彼女はまた、そのいかがわしい体操とやらに集中し始める。
せっかく会話で気を紛らわせていたのに黙らないでほしい。
あまりにも柔らかそうな乳肉はそれまでにも増して、ありえない形に歪む。まるでパン生地をこねているかのようだ。真ん中に寄せているせいで、もういつその先端が輪の中から見えてしまうかもわからない。
ほんとうに、嫌だ。
サキュバスでなければまだ気が楽なのに。
いや、サキュバスであっても、せめてもっと艶やかな大人の女性のようであれば。
こんなアホを性的な対象に思いたくない。こんな頭の弱い相手に反応するような、自分でありたくないのに。その行為があまりにも性的で、目に毒で、おまけに顔も可愛くて。
俺はいつのまにか、姿勢を維持することに必死になっている。
ふんふん、ふん。
本当に鼻歌を口ずさみはじめた馬鹿に、俺は頭が痛くなりなる。
「な、なあ、いつまでやってんだ?」
「えと、柔らかさにはちょっと自信があったりします」
「聞いてない」
「でもでも、おっぱいが柔らかすぎると、おちんちんをちゃんと気持ちよくできるかがちょっと……、あ、見てください、アリさんがちょうちょ運んでますよ、ほら」
「ああ、まるで船の帆のようだな。そうじゃなくて」
「これから結婚式ですかね? ブライダルですっ!」
「ブランチの間違いじゃないか? 蟻と蝶じゃつがいになれないだろ」
「え、わかんないじゃないですかあ。お兄さんとテテアの例があるわけですから」
「身に覚えがねえよ」
「えっ、お兄さん、テテアのこと嫌いです……?」
「ありえないって話をしてるんだよ」
「ええー……、ほんとです? えと、でもお――――」
テテアは俺に向かって腰を曲げた。肩にかかっていた長い黒髪がするりと滑らかに落ちる。
前かがみの緩い胸元は角度が変わったせいで余計に谷が深くなり。
思わず生唾を飲む俺に、大きな目がすーっと細められて。
――――――っ。
ほやほやの幼顔が、あまりに鮮やかに“オンナ”になっていくのを。
「――――お兄さん、いまテテアのおっぱい見て、おっきくなったりしてないです?」
その一部始終を。
俺はただただ見ていた。
テテアがにまにまと笑い、同じ姿勢のままおっぱいをすりすりと擦り合わせて。
はっ、として、俺は慌てて口を開く。
「は、は? な、なにが?」
「えっとお、おちんちん、かたーくなったり、してないです?」
「してる、わけないだろ」
「ほんとです? 見せてもらってもいいです?」
「それはだめだ」
「見ちゃいます、えへへ」
「おっ、おい!」
はたはたと彼女が駆け寄ってきて俺の目の前にしゃがんだ。
反射的に隠そうとした右手。まるで予想していたかのような早さで掴まれ、どけられ、およそ男の股間を観察しようとしているとは思えないようなキラキラした表情の、その鼻先がずいと迫った。
瞬間、無理やり突き飛ばすか否かの選択、は、必死に隠そうとするほうがむしろ怪しいのではないかという考えに軍配が上がり、いや、けれどサキュバスというか女の子にこの至近距離で股間を見つめられるというのはどう考えても拒絶していい状況で、と、考えているうちに数瞬が過ぎり、無事に俺はその機会を逃す。
いや、まだ。
ぎりぎり大丈夫な、はず。
「えと……、ん〜……」
テテアは悩ましそうな声を上げる。
その声のわずかな吐息がズボンにかかり、おまけに上から見下ろす視界には一部絶景が広がっていて、俺は息を止めながら空を見上げる。青い。青い。
「……ちょっとだけ、ふくらんでません?」
「ズボンのシワだ」
「ふくらんでますよう」
「あ、あんまりしゃべるな」
「どうしてです? いっぱいしゃべるとなにかまずいです? テテアの口が近いの、気になっちゃいます? えと、だいじょうぶです、今日はお口の練習ではないので」
「だ、だからしゃべるな。あとお口とか言うな」
「えとえと、これがシワなら、つついてみてもいいです?」
「いいわけないだろ」
そんなことされたら。
確実に勃つ。
「むう、じゃあつつきません」
テテアは口を尖らせて、じっとその場にたたずむ。
「…………」
股間の前にはテテアの幼い顔。
ギルドのランクがプラチナにもなると、サキュバスの退治なんてのはいくらか経験しているものだ。実際に知り合いのエクソシストが祓っているところを見たこともあるし、俺の手で裏世界に返したことも当然ある。
サキュバスとの戦闘時のセオリー、戦闘後の決まりごと。
それらもある程度押さえている。
そんな俺でも。
勃起寸前のズボンの中のモノを息がかかりそうな距離でまじまじと見つめられるという状況は間違いなく初めてだ。
そもそも戦闘時のセオリーを、俺は少し破ってしまっている。
――――――先手必勝、サキュバスと交渉するなかれ。
「ねえねえ、おっきくなる気はありませんか〜?」
「……ナニと交渉してんだよ」
「このままだと、テテアのおっぱいに魅力がないみたいになってしまうんです、助けてくれませんか〜? ねえねえ。おっぱい、あったかいですよ〜、柔らかいですよ〜。おっきくなってくれればお姉さんがイ、イ、コ、ト、してあげますよぉ〜?」
「お姉さん面してるガキがいるな」
「童貞さんのおちんちんはテテアからしたら可愛い子ですから」
「ど、どっ……!」
「えと、サキュバスなら匂いでぜんぶわかりますよー? あっ、でもぜんぜん、バカにしてるとかじゃないんですよ。人間の女の子とシたことがあるおちんちんは……、うーん、なんていうか、あんまりよくないので。童貞さんはとっても良いことです!」
「褒められてる気がぜんぜん……、おっ、おまえっ!? ちょ」
「えへへ〜」
突然、腰に回された腕。
抱きつかれた股間に、えもいわれぬ柔らかさが均等に広がる。
「おまっ、おい!」
「えと、つついちゃダメとは言われましたけど、抱きついちゃいけないなんて言われてないですからね〜」
「ふ、ふつうに考えて……っ、あ、ああ」
「んふふふ」
テテアの腕がきゅっと締まる。
けれど圧迫感は増えず、むしろ押しつぶれた乳房がさらに広がってくるような感覚に襲われる。ぬるま湯につかったように温かさと緩やかさ。予想外に拘束力が弱いせいで、逃げようとした下半身が大きく擦れて、しまったと思ったときには、すでに乳房の質感と柔らかさのすべてがぐにゅりと腰に広がっていた。
脳天まで駆け巡る、初めてのおっぱいの感触。
「……っ、ぁ」
喉の奥から息が漏れて、頭と体からふにゃっと力が抜ける。
「大きくな〜れ、大きくな〜れ」
「あっ、はめ、やめ」
ゆわゆわゆわ。
んゆんゆ。
擦り付けるでもなく、押し付けるでもなく。
密着したままの乳房ごと、テテアがゆらゆらと上半身を揺らした。
水を張った大きな水槽を運ぶように、質量を持った液体がたぽんたぽんと寄せては返す。けれどそれはやっぱり水でも液体でもなく。女の子のおっぱいで。
うねるような乳房をモロに受けてしまったのは、俺の急所で。
「よいしょ、よいしょ〜、んふふふ」
「……っ、は、あ、おま」
たぱ。たぴゅん。
ゆあゆあゆあん。
「かゆいところないですか〜? ふふふふ」
「く、ぁ、いきなり調子のん、あっ」
「んふふ、足がぷるぷるしちゃってますねー、ちゃんと肩つかまっててくださいねえ」
「いい加減離れ、ろ、おいっ」
暴れまわる乳房はその激しさに見合わず、ズボンの中へ幸せな感触だけを供給する。
歯を食いしばって睨み付ける、その先で目を細めているテテアが、悔しいほど俺の嗜好のド真ん中を攻めてきて、場違いな感情が胸の奥できゅんと鳴いた。
ずりゅ。
「あっ」
「……ッ!?」
それは茹でた果物の皮が剥けるように鮮やかだった。
もともと緩い胸元を擦り付ければどうなるかは火を見るより明らかで、満点の瑞々しい肌は黒い布からつるんと綺麗に飛び出し、先端の桃色の突起がまるで俺に挨拶をするようにぴこっと跳ねた。
なまの、おっぱい。
と、ツンと立った小さな突起。
に、ぐんと反応したのは愚かなオスの一部。
「……えへへ、ズれちゃいました」
頬を染めたテテアが俺を見上げて。
俺はごくりと、生暖かい空気を飲み込んだ。
「あっ、でも、えと、これで練習の準備できましたね……」
「あ、う」
テテアが小さく仰け反る。
乳房の中から妙な形に変形したズボンが顔を出す。本当に妙だ。
妙だな。くっそう。
「えーっと、……えへへ」とテテアがはにかむ。
「……、……」
「あの、えと、……触ったりも、しておきます?」
「……は?」
「えとえと、あの、ほら、男の人っておっぱい好きじゃないですか? だからその、ほんとはお兄さんがおちんちん大きくしてくれるように、テテアのをもみもみしたり、お顔挟んだり、おっぱいをちゅーってしてもらおうかなとも思ってたのですが」
「か、勝手な予定を立てるな」
「えと、でも、お兄さんがこんなにかんたんだと思わなかったので」
「うっ、ぐ」
俺の中の童心が深く傷ついた。
「えと、どう、します? あの、おっぱい」
「う、うるさい、変なお伺いを立てるな」
「いらないです? いいです?」
「いいよ! いらねえよ!」
「そうですかー……、そしたら、えと、あの、おちんちんを出していただいて」
「は!?」
「えっ? ですからあの、パイズリの練習をしますので」
「するわけないだろ」
「ありがとうございます!」
「会話してるよな!? なあ?」
俺の言葉をよそに、テテアはいそいそと俺のベルトを外しにかかる。
「おちんちんを〜、はっさんでぇ〜、すーりすりすり、ぴゅっぴゅー」
「話を聞いてるか、おい」
「お兄さんはテテアをたすけてくれましたしー、テテアがサキュバスだとわかったのに剣でわーって襲ってこなかったですしー、あとテテアが抱きついたあともあんまり嫌そうじゃなかったですしー、おちんちんはちゃんと大きくなったのでテテアにドキドキしてるはずなのに今になって真面目な顔するのはアレですねー、カマトトっていうやつですね? 実は期待してるむっつりさんはとても好きなんですよねー」
「おい何を言って、あっ」
「はいっ、ベルト取れましたー! ほっ、えい!」
「おわっ、たっ、と……っ!!」
ズボンを下着ごと一気に足首までズラされ、お腹を押された俺は空を仰いだ。
ぐるりと回って、どしん。
「……ってえ」
足首が脱げかけのズボンで固定されて受身が取れなかった。が、生い茂った雑草がクッションになってそれほどの痛みはなかった。
「んふふふふ……」
くりくりの目を光らせながら、テテアが器用にも狭いひざの間に割って入ってくる。
ズボンが引っかかっているせいで、まるで俺が両足でテテアの体を挟み込んでいるような格好になり、彼女は「よいしょ」と可愛い掛け声とともに俺の腰を持ち上げ、引き寄せるよう自分のひざを滑り込ませてくる。
青空の下、爽やかな風の中で揺れる赤黒い俺のイチモツと、俺の腰の上ににゅんと乗っかった柔らかいふたつの膨らみ。
あ、真面目にヤバいかもしれない。
「ちょ、待て、まてまてまて」
「わかりました! まずは挟みますね」
「わかりましたとは!? 理解とは!」
「えいっ」
「あっ」
重さのない温もりが腰の上で溶け、俺のソレが見えなくなる。
けれど想像していたような、あるいは心のどこかで期待していたような、人生を一転させるような、衝撃的な感触、というほどのものはなく、ただただ自分のソコが人の肌に温められているという感じだった。おっぱいが柔らかすぎるのか、俺のアソコが鈍感なだけなのか。むしろ男からすればもっとも性的と思われる女性の部位で自分のモノを包まれているというインパクトのほうがよっぽど目に毒で、女の子のおっぱいに、ちんこが、直に触れているというその認識がさらなる隆起を促そうとする。
「あ、は、待て、いいから待て」と俺は手を突き出す。
「はい、えと、待ちました」
「ぜったい、動かすな。いい子だから」
「テテアいい子です? えへへへへ」
「そう、いい子だ。……えーっと、なんだ、離れる気はないか?」
「おっぱいの中でぴくぴくしてますね〜」
「言わなくていい。その練習っていうの、やっぱりやめないか?」
「ええっ? だいじょうぶですよう。テテアはパイズリが下手なのです。なので練習です」
「待て、えっと、その練習? で、もし、もし万が一俺がその、なんというか、万が一、我慢できないようなことがあった場合、それはレベルドレインになるのか?」
「もちろんなりますよ〜! でもテテアのおっぱいなんかでお兄さんがぴゅーってしちゃうワケがないので、だいじょうぶですっ」
「大丈夫じゃない可能性もある」
「ほんとーにだいじょうぶだと思いますよう? ……うーん、そんなに上手にできるかなあ? もしぴゅっぴゅーってしちゃいそうだったら、言ってもらえれば止めますので。それにテテアを助けてくれたお兄さんに力で敵うわけがありませんので。テテアのおっぱいで、恩返し、させてもらえませんかあ?」
「お、恩返し? お、お前の勝手な練習を恩返しにするな!」
「だってテテア、ほかに何にもできないです……。上手にはできないですけど、でも、そんなに悪くはないですよう? 柔らかさだけは自信があるので……」
たぴゅん。
「――――――――――ッ!!」
「だめですかあ……?」
ほんの一回。
お試しサンプルとばかりに、童顔のサキュバスが乳房を波立たせた。
ふっと目の前が白んで、ゆっくり色が戻ってきて。
ああ俺は、ぜんぜん、わかってなかった。
挟んでいるだけのソレと、動かしたときの、ソレは。
まったく。
ワケが、違う。
「テテアのおっぱい、受け取ってもらえませんかあ……?」
にゅん、ゆん。
「あっ、あ、あ、あ、待て、まてまて」
「気持ちいいとは、思うのですが」
わからない。
原理がわからない。
まるで乳房と俺のモノが一緒になって、その皮が乳房に溶けて。
曖昧になった境界線が、その内側にあるむき出しの芯をゆるゆると揺らすような。
そんな、信じられないほどの、快感。
「どうです……? どうします……?」
「はあ、ちょとま、まて、ああ」
自らの乳房に顔を近づけ、上目遣いにこちらを見るテテア。
俺は一度キツく目を閉じる。
やばい。
こんな、だとは思わなかった。
いや、ある程度予想はしていた。腰に押し付けられて、揺らされて、その柔らかさを知った時点で、その気持ちよさを理解してしまった時点で。
ただ、彼女の言うパイズリにはその予想をぶち抜くほどの破壊力があったという話で。
だからこそ、拒絶しなければならないけれど。
ゆあん、ゆあゆあ。
「あはっ、あ、てっ、テテア、だから」
「おねがいです。えと、テテア、一生懸命がんばるので」
「いや、でも」
「だいじょぶです。テテアを助けてくれた人を、こまらせるようなことはしませんので」
「い、いや、だから」
「おっぱい、きもち、いいですよう?」
「……、…………っ」
「おちんちんに、恩返しして、いいです?」
「う、あ、いや」
「いい、です?」
テテアが大きな瞳をうるうるさせる。
小動物のように縮こまる様子と、その大胆過ぎる行為がどうしても頭の中で一致しなくて。
俺は。
「動かし、ますね……?」
「……、い、いや」
にゅぷ。
「……ッ!! か、は」
「練習、です。えと、練習、ですので……」
にゅんにゅん、にゅる。
すりすりすりすりすりすり。
――――――――、――、…………。
あ、あ。
肘が体を支えることを勝手に諦める。
白んだ景色に、大樹の木漏れ日がちらちらと光る。
しゅる。
むにむにゅ。
あ、ああ。
抜ける。
体が、抜ける。
芯が抜けて、コロコロとどこかへ転がっていく。
「んふふふ、お兄さん、ありがとうございます……」
すにゅん。にゅ。
くにゅり。
腕を伸ばそうと。
思わな、く、なる。
頭を持ち上げようと。
おもわなく、な、る。
ちんこが、おっぱいで、される。
やさしく、やさしくされる。
「こーしてえ、いしょ、こーしてえ、こうですかねえ」
おっぱいに転がされて、おっぱいに包まれて。
おれのモノが、遊ばれていく。
おっぱいに弄ばれていく。
彼女の言うとおり、決して無理のない。
ただただオトコの欲情の芯を、おっぱいで撫でられるだけの。
やさしい、やさしいうごき。
「…………んぁ、……は、……ぁ」
「んふふふふ、気持ちよさそうです……」
だめだ。ああだめだ。
いっそ絶頂に追い込むために、激しく動かされたら俺だって。ちゃんと。
なのに。
なのにテテアがそんなに。
そんなに、やさしい動かし方をするから。
「ちゃんとうまくなれるように、練習、たくさん、しますね」
すりゅん。すりん。
にゅうにゅう。にゅん。
ああ、ああ。
おでこからのうてんにぬけていくような、気持ちよさ。
かおにちからがはいらない。
いざとなったら、にげなきゃいけない、おっぱいは。
この子は、サキュバスで。
「え、と、交互に、えーっと、こうして……」
「ん、あっ」
わずかに肺を突くような、小さな危機感。
確かめた足首はまだズボンが絡まっていて。
本当にヤバくても逃げられないかもしれない、そんな回避すべき状況に。
でも。
うご。けなく、ても。
彼女は、ただの、練習、だと、言っているし。
でも、でも。
「んふふ、こう、ですねえ。すーりすり、ぱふぱふ、ぱふ」
サキュバスに下半身を、されるがままにされている。
のどの奥が少しずつ焦げ付くような背徳感。
正常に戻そうとする倫理との間で、チリチリとした痛みが生まれて。
うなされるように顔を背けたそこは、青々と広がる草原。木陰。
頬を柔らかい雑草が撫でて。
下半身がいまもサキュバスに溶かされていく。
でも、でも。
彼女は。
テテアは、最後まではしないと言っている、から。
「はあ〜、ああぁ、愛おしいですう……」
彼女の熱い息に、おっぱいの中が満たされる。
極上の温泉に浸けられて、お湯ごと混ぜられているような。
ぎゅむん。
強めの圧迫に腰が小さく跳ねて、テテアが嬉しそうな声を上げて。
俺は手のひらに感じるだけの草を、思わず掴んで。
たぴゅん。
と揺らされて、また離す。
息が上がる。何かから逃げるように顔を逆に向ける。こっちも草原。
すりん、すり、すり、すりゅ。
むに、むにゅむにゅ。くにゅん。
ゆんゆん、ゆあゆあゆあ。
ああ、だめ。
テテア。ああ。
「…………んふ、……あー、む」
「ッ!? あっ、それあ、あ、あっ」
思わず足がズボンを裂きそうになる。
腰の先っぽに感じた熱のようなものが、這うように動いた。
何かを訴えるためにもたげた頭。下半身のほうに広がる景色には、俺のモノを完全に閉じ込めてしまっている肌色の塊と、そして、さらりと落ちた長い前髪。
俺のソコに、彼女が顔を近づけて。
いや、近づけるどころか、埋めていて。
にりゅ。
再び襲う熱い刺激に、目の奥で火花が散る。
掴んだ草が引っこ抜けて、俺は地面に指を立てる。
「あ、だめ、あ、テテ、ア、それ、あ」
「んふ、きもひ、でふぁ?」
「きもちいっ、い、きもちい、から……ッ!!」
「よかっられふ、んふ」
テテアが一度口を離し、少し邪魔そうに髪を耳にかけて。
また、その赤い舌が降りてくる。
にりゅ、ぬるん。
あまりの好さに背中が仰け反る。
よがる視線ははるかうしろ。青い空。
どこをみたって、にがせない。
つかまったかはんしんは、彼女に愛される。
「えへぇ、ひくひく、ひますね、んふ、きもひーんでふねえ、ん」
「それやめっ、あ、あは、きもちい、きもちいからあ、ああ」
きもちい。きもちいい。
ちんこがきもちいい。
おっぱいではさまれて、なめられて。
ああきもちいい。
泣き言か、感想か、悲鳴か。
そのどれなのかもわからないまま、俺はテテアに何かを請う。
隠しようのない、さらけだされた悦びが、オトコの幸せが、勝手に口から漏れ出す。
そんな汚いモノが。排泄する場所が。
ずっと相手のいなかった相棒が。これからもきっと、相手はいないのだろうと思っていた奴が。
「んふ、ふ」
おっぱいで、愛される。
舌なんかで、愛される。
こんなに可愛い子が、やさしくやさしく、こんなことをしてくれる。
術中。
脳裏に浮かんだ単語が、背筋を貫く。
その痺れは強烈な快感を含んだ、甘くて黒くて、歪んだ刺激。
サキュバスに。
こんな体勢に持ち込まれてしまったのは。
どうしたって、間違いだったんじゃないかという。
にゅりん。
考えが。
にるにりゅにりん。
舐められるたびに、ぞぞぞっと下半身を抜けて。
全身に回って。
きっと覚えてはいけないコトを、覚えていく。
「んはぁ。……はぁ、ずっとぴくぴく、してます、かわいい。お兄さんがちょっと辛そう、なので、えと、ゆっくりに、しますねえ。……んむ」
に。
るん。
――――――――っ
声が声にならない。
腰はまだ慌しくて。
上半身を、起こす気にもならない。
「……ん、……んっ」
小さな吐息とともに。
やさしくやさしく、俺の先っぽが撫でられていく。
おっぱいがまた動き始めたのを、下半身が感じる。
ゆっくり、ゆっくり。
円を描くように、こね回すような動き。
じわじわと射精感が昇ってきている、その先端を。
彼女の舌が、けれど、やっぱり。
優しく舐めあげていく。
「……へ、あ、……んああ、……きも、ち」
愛撫にうなされる。
おっぱいが止まらない。
舌もとまらない。
なのにゆっくりで、ずっと優しくて。
俺は地面に爪を立てて、力を抜いて、それを繰り返して。
何の保証もない彼女の言葉に、カラダを投げ出して。
だって。
もう激しくされるだけで、出てしまうことがわかるから。
テテアが、それをしないから。
だから。
すちゅ。にち。
卑猥な音が草原に消える。
優しくも熱い感触が、敏感なところを這っていくたびに。
カラダが情けなくびくっとして。
興奮し過ぎたソコが彼女の乳房からビンと逃げ出して。
テテアが笑って。
また捕まって。
「信じてください」と、「悪いようにはしませんから」と。
まるでそう語るような、ゆるやかな舌の動きに。
抵抗心といっしょに、必要な疑念が手からこぼれ落ちていく。
だって、テテアは。
俺なんかのを、おっぱいでして、舐めてくれる女の子。
「んあは、んふ、……えと、もうちょっとだけ強くしても、がまんできます?」
そよ風にすら消えそうなささやき声。
まったく、答える気が起こらない。
がまんできる気がするし、がまんできない気もする。
「ふふ」
するるるるり、すりり。
あ。
ああ、ぜんぜん、だめかも。
「んむ」
すりすりすり、すり。
にりにり、にち。
「あ、あ、あ、あ。きもち。あ」
乳房の動きが少し早まる。
押し付けられる舌が少し強くなる。
蘇ってくる、ナケナシの危機感。
淫魔にこんなことをされている現状。
忘れていた良識とまたぶつかり合って。
思考の摩擦は熱を生んで。
下半身にたまっていく。
ああ、やばい。
のに。
「あむ、んむ、んふっ」
あ、ああ、あっ。
やばい。
ああ、やばくなったら、逃げないと。って。
テテアが言ってた。
のに。
にりゅり。ちう。
あっ。
ばちばちと煌く。てんしとあくま。
いまもおれとおれはせんそうじょうたいで。
でも、なにをかんがえたって、からだはもう。
ぜんぶ、うごかなくて。
そういえば、あしはズボンがじゃまで。
「あは、んふふふふっ」
すりすりすりすりすりすりすり。
ああ、だめ。これだめだ。
だめ。
だめで、だめでも。
ああ、イくかも。
それは。
だめ、でも、べつに。
「――――、――――――?」
テテアが何かを俺に聞いた。
何を聞いたのか、何も聞こえなかった。
ただ俺のソコはおっぱいの中だった。
もみくちゃだった。
先端が熱くて熱くて、にゅるにゅるして。
だめ、だけど。
だめ、でも、べつに。
にるにるにりゅ。
あ、
あ、
あ、
あ。
出ちゃう。
けど。
あ
――――あ、もう、べつに、いいか、な
「――――――――、はあ、えへへ」
陰茎はいまも激しく脈打っていて。
竿の中はぐつぐつと煮えたぎっていて。
あたりは真っ白で。
ひざの間が涼しくて。
となりにちょこんとしゃがんたテテアが、テカテカになったおっぱいを下着のような衣装にしまっていた。
「たくさんガマンしてくれて、ありがとうございます、お兄さんっ! いっぱい練習させてもらっちゃいましたー!」
あ、こっちにもあいさつをしておかないとですね。
なんてことを言いながら、テテアはまた俺の下半身に顔を近づけて。
ちゅ。
と軽い口付けをして。
勝手に跳ねた俺の腰を可笑しそうに笑って。
またよかったら、おねがいしますね。なんて。
ことを言って――――。
――――風のそよぐ草原と。
大木の下にはいま。
もう、俺しかいなくて。
「…………ぁ、はあ」
起こした身体は重くて、頭もなんだかずんとしていて。
「は、はあ、はあ、はあっ」
脱げ掛けたズボンを中途半端に引き上げて。
どこともなく、身を隠せる場所を探して。
「はあっ、はあっ、はっ、は!」
背の高い草むらの中にひざをついて。
俺は。
「ああ、ああああ、テテア、ああ」
まだギンギンのソコを掴んだ右手が。
勝手に、俺の意思で。
それはもう、むちゃくちゃに。
――――ヤバかった。
「あ、あ、あっ、くあ」
やばかった、本当にやばかった。
レベルドレイン、されていた。
テテアが最後まで、それをしなかっただけ。
ああ。ああ。
「ああああっ、あぐ、あはっ」
手が止まらない。
説明しようのない感情が、収まらない。
おっぱいが、気持ちよすぎた。
彼女の舌が、よすぎた。
あのままされていたら、俺は、俺は。
「あっ、つ、ああっ、かっ」
“サキュバスと。
遭遇した日、あるいは戦闘を行った日から。
可能であれば二日。
最低一日は。
自慰行為をすべきではない。”
「ああっ、テテアぁ、ああっ、あああああっ」
知るか、そんなこと。
「ああああああああっ、あああっ――――――」
あんな馬鹿で。
あんなおっぱいがデカくて。
顔がいいだけの、ただそれだけの。
サキュバスなんかで。
俺は。
俺は。
くそ。
ああくそ。
テテア。
ああ。
「あっ」
びぴ、
う。
びゅくう、どくどく、とくとくとく。
勢い。
よく。
草むらを汚していく。
たどり着かなかった結果に、自らたどり着く。
ただレベルドレインが伴わないだけで。
俺は。確かに。
彼女の胸に。舌に。
すべてを吐き出していく。
「……ぁ、ぁ」
それでも彼女は目を細める。
擦れあうおっぱいは止まらない。
先端を撫でる舌の動きは止まらない。
白く汚れた肌をまだまだ俺のそこに塗りつけて。
おいしそうに精液を舐め取って。
また、俺を少しだけ。
サキュバス相手に盛大に吐き出してしまった俺を、少しだけ。
あざけるように、笑って。
とどめとばかりに、はげしく。
どぷん。
びゅる、るる、る。
「…………アァ」
妄想の中の女の子に、俺は負けていく。
青空を全身で浴びながら。
俺は空に溶けていく。
頭の中はぐちゃぐちゃで。
身体の中もぐちゃぐちゃで。
ただただ白い、意識と。
まぶたの裏で。
形容しようのない快感に、打ちひしがれる。
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