自称サキュバスが寝息を立てている。
白い空間に目を覚ました俺は、まず目の前で呼吸を繰り返す生物をみてそう思った。無防備な寝顔を見せる愛らしい女の子で、俺が思うにそれは人間の魔法使いで、彼女が言うところではサキュバスだったりする子だ。確か名前はメル。
しかし白い。とにかく白い。白さに包まれている。俺は寝起きでずれたピントを少しずつ合わせようと努力する。なんとか自分の置かれている状況が掴めて来る。
白いと思っていたのは、いま自分が横になっているこのふわふわなベッドであり、そして部屋の内壁であり、さらに窓から差し込む光だった。心地のいい朝だ。小鳥がちゅんちゅん鳴いていてもおかしくはない。
さて、と。
自らが置かれた状況がわからない。ここはどこだったか。宿? いや、これほどに寝心地のいいベッドなら、体験すれば覚えているはずだ。ということは知らない部屋か。なぜ俺はこんな部屋に?
体の力という力が抜けている。あまり何かを考える気にならない。白い布団は柔らかく、温かい。素肌に触れる布地は、それだけで気持ちがいい。自分は裸なのかと思ったが、下着だけは履いているようだ。まだぼんやりとはしているが頭に重さはなく、体にもだるさもなくスッキリとしている。つまるところ最高の寝起きだった。これで手足が封じられていなければ、だが。
思い切り体を伸ばそうとするが、手首と足首からは強力なゴムを引っ張るような感触が返ってくる。覚えのある感触に俺は溜め息を吐いた。
「うん、ん」
仰向けのまま天井を見上げた俺の首筋に、自称サキュバスのメルが鼻をうずめてくる。そうだ、こいつだ。俺は昨日、いや、正確には前回起きていたとき、あの薄暗い洞窟の奥でこの子にいかがわしいことをされたんだ。この子の豊かな乳房による絶望的な気持ちよさに精液をまき散らして、そして、そして、……そこから記憶が無い。
あれからどうなった。ここはあの洞窟ではないのだろうか? 別の場所だとしたら、この子が俺を運んだのだろうか。
「……」
すうすうと繰り返す寝息に警戒心は感じられない。いまだって俺を陥れた双乳を惜しげもなく押し付けているのだから、女性としての危機感というか、貞操観念を問うこと自体が無駄なのかもしれない。手足を拘束しているのは、自分が襲われないためではなく、俺を逃がさないために他ならない。
なんせサキュバスだ。男の精を食事にしている種族だ。彼女が言うにはだが。
「……おーい」
俺の呼びかけに、鎖骨のあたりから「んう?」と声が発せられた。彼女は体をもそりと動かし、ゆっくりと首をもたげた。まだ半開きの目が俺を捕らえ、しばらく眺めてから閉じてしまう。力を失ったように俺の体にしがみつき、その頬が俺の肩に乗る。ぐう。
「おい」
俺が容赦なく体を揺すると、メルは「ん〜」と駄々っ子のようにうめき声を上げた。
「んー、じゃない、起きろって」
なんとか起こそうとする俺に、メルは離れまいとさらに手足を絡めてくる。すべすべした肌が密着し、メルが服を着ていないことを知る。そして同時に焦る。
「お、い」
「んん、もうちょっと……」
肉厚のあるふとももが俺の下腹部にこすりつけられる。俺は身をよじって腰を逃がそうとしたが、遅かった。
ぐに。
「あ」
「う」
本日の寝起きのよさに比例したか、我がイチモツは一人の男性としてはまさに健康的な朝を迎えていた。
「……んふふ、勇者クンおはよお」
元気の良い息子の頭を、メルのふとももが生地の上から撫でる。おい、ドコに挨拶してるつもりだ。
「ほらほらあ、お返事はー?」
なんとか離そうとする腰を掴まれ、ふとももですりすりと擦り上げられる感触に、俺は歯を食いしばる。しかし息子は俺の意に反してぴくりと頷いてしまう。
「あ、えへへへ」
メルが脚を降ろし、代わりに腰を掴んでいた手で俺のモノを下着ごしに包み込んだ。
「そうだよねえ、気持ちいいよねえ」
「お、ま」
すりすり、ぐにぐに。今まさに活動せんとする血液達を逆撫でするように、その手でいやらしく刺激が与えられる。魔法で縛られた手足では抵抗もできず、俺は息を漏らした。
「ふふ、おはよ」
こちらを向いたメルがそう言って、今度は頬にキスをされる。息子さんへの挨拶が終わったから次は君ね、とでも言わんばかりだ。
俺の男としての性は、朝っぱらから見事に操られてしまっていた。
「だって、そのほうが雰囲気出るでしょ?」
メルが俺の質問にまともに答えたのは、朝食を終えてからのことだった。
「雰囲気?」俺は聞き返した。
「そう、雰囲気」メルが答えた。
俺とメルの会話をよそに、もうひとりの小柄な女の子がお皿を片付けていく。黒く小さな翼と尻尾を見る限り、この子もサキュバスなのだろうか。名前はなんといったか。料理はこの子が担当しているらしいが、サキュバスなのだとしたらどこでこんなスキルを身につけたのだろうか。
さきほど出されたのはパンとカボチャのスープだった。例によってメルに食べさせられたのだが、このスープがまたうまかった。
「雰囲気作りのためにあんな場所を用意したってのか?」
「そうだよお? 謎の洞窟の奥深くに不思議な空間なんて、それだけで神秘的でしょう?」
メルがしれっと答える。俺は眉をひそめた。
「じゃあ、ここは?」
「ここは私とミルちゃん住んでる家だよ」
家。魔物が家。
「おまえ、サキュバス、なんだよな?」
「うん、そうだよ?」
「サキュバスって洞窟に住んでるんじゃないのか?」
「やだよ、あんなじめじめした所」
メルの返答に頭が痛くなる。
「いやおまえ、俺達が入ったときあの洞窟にいたじゃないか」
「あれは入口の封印が開いたから様子を見にいっただけだよ? それで勇者くんとそのお仲間さんがいたから、勇者くんだけ眠らせて連れて来ちゃったの。だから、べつにあそこで暮らしてるってわけじゃないよ」
お皿を運んでいく小柄サキュバスに、メルは「ありがとー」と口にした。
自称サキュバスというのは洞窟じゃなく一軒の家に住んでいるらしい。さらに家にはベッドがあり、窓があり、おまけにカーテまでかかっていて、挙句には精を主食とするにも関わらず料理の技術と材料まで完備されている。
なるほど、どう考えても人間にしか思えない。
「……洞窟の中じゃないとすれば、ここはどこなんだ?」
俺は窓の方へ目をやる。差し込む温かい光は太陽のそれに違いないだろう。
「ここも洞窟と繋がってるところだよ。その一番奥。エフィル山脈の一角なんだけどね、ここだけ広いお庭みたいに開けてるの」
おい、嘘だろう。俺はそう思った。
確かに秘密の森の奥の絶壁のような崖からは険しい山岳地帯が広がっていて、とてもじゃないが人の通れるような道はない。洞窟の先を進めば、なるほどそのエフィル山脈の地下を行くことになるのだろうが、こんな開けた場所があるなんて思いもしなかった。世界を調べ尽くしたと思っていた俺だからこそ、これほどに驚いているのかもしれない。
「たぶん空から見ても、ここはわからないと思う。幻術と封印をかけさせてたから。……でも、なんでそんなこと聞くの?」
メルが首をかしげた。
「そりゃあ逃げるために決まっているだろう」
「えー、ひどい」
「酷くはない、当然だ」
「ひどいよ。まだここから出るつもりなの? 昨日あんなに気持ち良さそうにしてたくせに」
俺は昨日のことを話題にされて言葉に詰まった。メルがじっとりとした視線をこちらに向けながら唇をとがらせている。悔しいが、いま俺が何を口にしても説得力がない。なんせ気持ちがよかったのだ。そのおっぱいは最高の感触と圧力で俺のモノを射精に導いた。それはもうたくさん出した。出し切った。すっきりとした朝だ。ちくしょうが。
「もうさあ、観念しちゃおうよ。わたしの仲間になっちゃえばいいんだよ。そしたら毎日してあげるよ? ここで」
大きな一枚の布を巻いた体をつきだし、メルは両手で胸の谷間を強調してみせる。柔らかそうに形を変え、その谷間はさらに深くなる。一度落ちたら戻ってはこられないだろう。ちなみにその布は、俺がメルと交渉した結果である。何も着ないなら俺は会話に応じない。
「ほらほら」
両手を交互に動かし、淫らな肌色がぐにぐにと合わされる。そこに挟まれてしまったものは、手であれ顔であれ、不肖の息子であれ、間違いなく幸せにされてしまうだろう。それだけの魔力をその乳は持っている。実際に昨日挟まれた俺が言うんだから間違いない。ああ、あれを毎日か。
身震いしそうになるからだを羞恥心と気合でおさめる。いけないいけない。
「俺は負けないよ。お前らの仲間になんかならない」
冷静に、はっきりと、言い切った。自分にも言い聞かせているつもりだ。
「ほんとう?」
しょんぼりしながら、メルはさらにその乳肉をこねまわす。盛り上がり、押しつぶされ、布がずれてきわどい部分まで見えそうになる。
「さっきからおっぱいしか見てないのに?」
メルの言葉に俺は顔を逸らした。歯ぎしりしたくなる。なぜこの二つの塊りは、男の脳を簡単にピンク色にしてしまうのだろうか。
「ほんとうにもういいの? 挟みたくない? おちんちんとかぎゅうってされたくない? すりすりされたくない? お顔を潜らせてみたくならない?」
「ならない」
「いまでもいいんだよ? 気持ちいいよー? そのおっきくなっちゃったおちんちんをいっぱいむにゅむにゅしてあげられるよ?」
「別にいいし、勃起もしてない」
嘘だった。腰にかけた布団の下で、ムスコは自分の収まる場所を求めて見事に反り返っている。
「うそー。勇者くん、昨日いっかいわたしのおっぱい味わっちゃったから、想像するだけで固くなっちゃうはずだよ?」
まさにその通りだった。
「なってない。勃起はしていない」
「じゃあいまから調べて、もしおっきくなってたらキスしちゃうからね」
「……いや、まあ勃起はしてるけどさ」
慌てて認めると、メルは楽しみを一気にそがれたように肩を落とした。
なんで言っちゃうかなあー、そんなにキス嫌いなのかなー、わたしはキス好きなのになー、と続けて文句をたれた。ふて腐れた表情はなんだか可愛いと思ってしまう。いや。
「うん、まあいいや、それじゃあ試してみよう」
「試す?」
メルの言葉におれは身を固くし、下半身の棒がぴくりと反応した。
「勇者くんが、ちゃんとわたしたちのおっぱいに負けないかどうか、やってみよう」
俺は腰掛けたベッドにもう一度押し倒された。
上を見れば乳があり。下を見ても乳がある。なんと素晴らしい。
一糸纏わぬ女の子二人と、俺。夢のようで、それでいて絶望的な状況に俺は一度眼を閉じた。
「あの、首、痛くないですか?」
「ああ、はい」
真上から声をかけられるが乳が邪魔であまり顔が見えない。丁寧な言葉遣いに思わず敬語を返してしまう。ミルちゃんという名前らしい。おどおどした様子がその露出度の高い服装とあまりにミスマッチだ。近くで見たことはなかったが、胸はメルと同じか下手するとそれより大きいかもしれない。
「勇者くんどう? ミルちゃんの膝枕やわらかいでしょう」
メルが得意げに言う。返答に困るのでやめてほしい。
ちなみに当のメルにはひざの裏に足を差し込まれて、そのおっぱいが俺のモノを挟みはしないまでも、軽く押し当てられてしまっている。手首も足首も固定されて、なす術がない。
「ふふ、それじゃあ始めよっか、ミルちゃん」
「うん」
遠慮がちな声が聞こえた。
「……」
俺は精神を統一する。どうせ逃げられはしない。またイかされてしまうかもしれない。だけど心だけは持っていかせない。オトコとしてそこは譲れない。何があろうとだ。たとえおっぱいがどれだけ気持ちよかろうと、情けない声のひとつでも出そうものなら、それはもう勇者じゃない。そうだ。俺は負けない。
ぱふん。
「あふ」
上からおりてきた幸福に、声帯が震えた。俺の声でないと信じたい。
「ミルちゃんのおっぱいはわたしのより柔らかいからねー、弾力じゃあ負けないけど」
頬、鼻、額。すべてか白くて柔らかいものに覆われる。包み込むような優しさで、むにゅりと圧が加えられる。顔の部位が滑らかな肌に溶け込むように沈み込んで、隙間なく一体化してしまったかのようだ。その柔肌の波が顔面の凹凸を余すことなく侵食していく。
「あ、あの、苦しくないですか?」
俺は幾度となくそのおっぱいに鼻や口が埋まり、短い呼吸を繰り返す。
「大丈夫だよミルちゃん。勇者くんすごく喜んでるから。もっとおっぱいで誘惑しちゃっていいよ」
「うん、……勇者さん、わたしの胸を、いっぱい感じてください」
その胸で左右から圧迫される。体のいたるところがピンと張ってしまう。思い切り押し付けられているのに、触れる乳肉に固さはなくむにゅりと形を変えるだけだ。
「ぎゅうううう」
さらに押し込まれる。
「……っ、……!!」
同化してしまう。俺がおっぱいにやられてしまう。手足をバタつかせようとしても動かず、腰だけがメルの膝の上から浮き上がってしまう。
動けない。避けられない。拘束された状態で、おっぱいを与えられてしまう。ああ幸せだ。ぱふぱふされてこんなにも気持ちいい。
「んしょ」
ふいと離された胸に、肺が酸素を欲しがった。
「舐めて、くれますか?」
情けなく開いた口、その唇に小さな突起が押し当てられる。広大な白い肌の中に、ぽつんとピンク色に染まっている。卑猥な突起。えっちな突起。この果てしないおっぱいの魅力を一点に凝縮したようなそれに、俺はむしゃぶりつきたくなる。
「勇者くん、自分からおっぱい吸っちゃってもいいの? ふふふ」
メルの言葉に俺はびくりとした。思わず口を一文字に結ぶ。
「ああ、もう。残念です……」
ミルという子が心から名残惜しそうにしている。
またその淫らな双丘が俺の顔を挟み込む。左右からやわらかく覆われる。
このおっぱいは危険だ。こんなにも早く自分から求めてしまいそうになるとは思わなかった。それほどの魅力を、魔力を、その全てを惜しむことなく与えてくる。
「ぱふ、ぱふ、ぱふ」
むにゅ、ふにゅ。
「んふ、あ、は」
再開された行為に、俺の体が歓喜する。下半身が痛いほど張り詰めている。
「ぱふ、ぱふ、ぱふ」
くにゅり、ぷにゅ、に。
「は、は」
だめだ。このおっぱいはだめだ。
「ぱふ、ぱふ、ぱふ」
欲しいものを与えられ、与えられ続け、満足を超えてさらに続いていく。表情筋が緩んでいく。目に力が入らない。口が開いてしまう。唾液がたまる。
「勇者さん、どうですかあ? ぱふ、ぱふ、ぱふ、ぱふ、ぱふ」
ぷにゅ、ふにゅ。包まれる。包まれる。
「……ぁ、……、は……」
だめになっていく。だめにされてしまう。自分より一回りも小さな子のおっぱいに、俺は腑抜けにされてしまう。柔らかいだけの世界でただのバカにされてしまう。
メルのおっぱいが男を虜にするおっぱいなら、この子のおっぱいは男をダメにする。その胸を一度押し付けられるだけで、攻撃力や闘争心を奪われてしまう。ぱふぱふされているだけで、まるでそんな状態異常を何度も何度も重ねがけされているかのようだ。
「こね、こね」
「ぁっ、……ああ」
おっぱいが顔の上を無造作にくにゅくにゅと動き回る。顔面を混ぜられる。全てがその肌に溶けて、流れ出しそうだ。目はどこへいった。口はどこへいった。
「……は、……」
ああなんて幸せ。幸せすぎて。
「勇者くんもう静かになっちゃったねえ。いいの? 抵抗しなくて」
抵抗? ていこうってなんだ。あらがうこと。何に。この子に? メルに? ああ、そうだ。そうだ、そうだ、そうだ。
「くっ、は、や、やめ」
腹に力を入れる。そうだ、負けちゃいけないんだ。たとえ気持ちよくても、男の夢でも、ぱふぱふされることに股間が歓喜してしまっていたとしても、心は負けちゃいけない。
「まぜまぜ」
くにゅ、ぷにぷに。
「あふ」
たまらない。ああたまらない。くそう、くそう、くそう。
「そうそう、勇者くん。負けないって言ったからには頑張ってね。それじゃあ、そろそろこっちの勇者クンも……」
メルの言葉と共に、恐ろしいほどの硬度に達したそれを、恐ろしいほど柔らかい感触が包み込んだ。
「はあっ、ああああっ!」
あまりの気持ちよさに首を振るが、こね回すミルの乳肉に沈むだけだ。余計に気持ちよくなってしまう。余計に興奮してしまう。
「柔よく剛を制す、かな? こーんなにカチンコチンで防御力たっぷりに見えるおちんちんなのにねえ。やわらかーいわたしのおっぱいに負けちゃうんだから」
この上なく敏感になった俺のモノを挟み込み、その両胸がゆっくり上下に動き出した。期待していた。俺はこれを望んでいた。大好きなメルのパイズリ。俺を絶望的に気持ちよくしてしまうメルのパイズリ。
すりゅ、すりすり。ぷにゅぷにゅぷにゅ。
「あ、がっ、あはあ、んあ」
口に溜まった唾液が飛び散りそうなほどに、俺の口からなさけない声が発せられる。ああ気持ちいい。気持ちいい。
手足が束縛の魔法陣を引きちぎらんばかりに暴れる。ビクともしない。顔も下もおっぱいからは逃げられない。
「今日は勇者くんをイかせるのが目的じゃないからねえ、ゆーっくりゆっくり堕としてあげる。勇者くんの心が負けて、受け入れちゃったときが勇者くんの最後だよ? そしたらもうわたしたちの仲間。毎日おっぱいしてあげるからね。ほらほら」
すりすりすりすりすり。
「お顔のぱふぱふもいっぱい味わってくださいね」
むにゅ、ぎゅむ、ふに。
声を上げる。身をよじる。どうしても逃げられない。気持ちいい。うえからしたまで全部がおっぱいに包まれる。おれ自身がおっぱいに挟まれてしまう。
だめだ。だめだ。いけないんだ。俺は負けない。負けないんだ。負けちゃいけないんだ。
「ほーら、おちんちんぱふぱふぱふ」
ああ、あ。
「ほら勇者さん、お顔をぱふぱふぱふ」
あ、あ、ああ。
顔が溶けていく。柔らかさに溶けていく。
精液の詰まったイチモツを、絶妙な圧力で、それでいてゆっくりと搾り取るようにさすり上げられる。一回、また一回とその悪魔のパイズリを受けるたびに、思考の糸が途切れていく。脳からしわが一つずつなくなっていくかのように、二人のおっぱいのこと以外が抜け落ちていく。
「ほおら、抵抗なんかしてるほうが、たぶん興奮しちゃうと思うよ? いけないことだからね。だからはやく負けちゃおう? ゆったりと身を任せるの」
するり、むに、むにゅむにゅ。
「あ、あ、あは……」
頭に残った最後の一本を、抵抗しなければという意思の柱を、片側からメルの胸が、もう一方からミルの胸が挟み、徐々に腐らせていく。柔らかさに負けて、その身を悶えさせている。どんどん弱くなる。どんどん腐っていく。気持ちよくなっていく。
「イきたかったらイってもいいし、嫌だったらもっともっと耐えてね。ゆっくりゆっくりしてあげるから。ずっとずっとおっぱいでしてあげるからね」
メルの言葉通り、その刺激はマッサージするかのようにゆるやかだ。それは射精を促す動きではなく、あくまで断続的な気持ちよさと興奮を与えてくる。
「くっ、ふ」
気持ちいい。溶けるほど気持ちいい。押し付けられる大きな乳にも興奮してしまうし、それで負けそうになっている自分にまで良くない気分になってくる。こんなにも耐えようとしているのに、最後にはきっとおっぱいで負かされてしまうであろう自分が。
「ほらほら」
いけないと思うほどに、淫らな気持ちよさが興奮を煽る。股間が切なくなってくる。よっくりと昇っていってしまう。
「……あっ、……あ」
だめなんだ。それはいけないんだ。ああ、ああ。
「……っ、……」
途方もなく気持ちのよい気だるさ。指一本力が入らない。
「30分、かなあ? ふふ、大人しくなっちゃって。でも頑張ったほうだよ勇者くん、えらいえらい」
「勇者さん、もっと吸ってください……あっ」
口に押し付けられた突起をはむりと咥える。ちゅうちゅうと吸いながら、舌で転がす。ああおっぱいだ。おっぱいだ。
「あん、ひゃ、あ、勇者さ、ん、気持ちいです。もっと」
「……っ!」
突起を押し付けたまま、乳肉が顔を覆って広がる。天国だ。果てしなく淫らで、たまらないおっぱい。もっとおっぱいを。
「すごいよ勇者くん。たくさん頑張ったね? でも負けちゃったね。どうするつもりだったのかなあ。まだ数十分だよ? もっと頑張れば、精一杯自分を奮い立たせればあと10分くらいは我慢できた? じゃあ、もしこれが一時間だったら?」
すりすりすりすり。
メルは両手で何度もその胸を擦り合せる。俺のモノを優しく挟み、上下させる。
「心をもっと強く持てば1時間も耐えられたかな? じゃあ二時間なら? わたしたちは今日勇者くんが堕ちちゃうまで何時間でもおっぱいしてあげられるんだよ? 30分で堕ちちゃう勇者くんが、何時間も耐えられるのかなあ」
ぷにゅり、ふにゅり。すりすりすり。
「……、……ぁ」
ぴくっ、と情けなく震える。
顔を覆うミルの乳も、イチモツを覆うメルの乳も、どちらもあまりに魅力的で、どちらも最高なんだ。もっと押し付けて欲しい。もっと擦り付けて欲しい。
「万が一、勇者くんが今日一日、命を削ってでも抵抗したとするでしょう? でもそしたら明日もしちゃうよ? 明後日もその次の日も、またその次の日も。起きてから眠るまでずーっとおっぱいしてあげるの。どうやってそれに対抗するつもりだったの? ふふふ」
絶望的な気持ちよさは、俺の体に染み込んでくる。イくわけではない。ただひたすらにそのおっぱいに埋まっていく快感を、体が覚えてしまう。刷り込まれてしまう。
「これが終わったら、勇者くんはきっとまた素直じゃなくなっちゃうと思う。言葉ではちゃんと拒絶できるよ。でもね、もう心の奥が染まっちゃったの。わたしたちのおっぱいに負けちゃったの」
ただ埋まっていく。おっぱいに埋まっていく。それを堪能する。喜びに顔を歪めながら、挟まれる分身に感覚を集中しながら、気持ちよさにすがりつく。
「ミルちゃん」
「うん」
二人の声とともに、その乳肉による刺激が強さを増す。
「あっ、あっ、あっ」
「ほおら、ちょっとずつ早くしちゃうよ?」
「勇者さん、気持ちよくなりましょうね」
魔の乳に扱き上げられて、下半身が歓喜する。眉間に寄ったしわを、ミルちゃんの胸が解きほぐしていく。
「勇者くんイっちゃうね、だめなのにね」
「イってしまうんですか、勇者さん」
ぐにゅ、ぎゅう、むにゅり。しゅるしゅる、ぎゅうう。
「あっ……! きも、ち、ひい、あっ、あああ」
昇っていく。どんどん昇っていく。
「勇者くんラストスパートだよ、ほらミルちゃんも」
「うん」
力の抜けた体が、糸に引っ張られるかのように張り詰める。
「いきますね勇者さん。ぎゅううう」
これでもかというほど、視界が乳に埋まる。一体化してしまう。顔がおっぱいになる。息ができない。苦しいのに、血液はどんどん下へと流れていく。
「はむ」
にゅるる。
「んっ! んんっ!! ……んっ!」
イチモツの先を、生ぬるいものが舐め上げる。俺は知っている。この気持ちよさを知っている。これを求めていたんだ。これが大好きなんだ。
「んむ、ん」
にゅるり、にゅるにゅる。
竿にこずんだ精子をメルのおっぱいが撫で上げ、今それを放出せんとする出口を、メルの舌が溶かしていく。
「ふふふ」
「えへへ」
はじける。飛び出してしまう。望んだ気持ちよさに果てに、体が解き放たれてしまう。
むにゅむにゅ。ぎゅうううう。あむり、ぺろぺろ、にゅる。
出る、出ちゃう。ああ、出る、出る、出る。
「――――――――!」
「まだまだこれからだよ、勇者くん」
溶け出す溶岩のように、白いものがドロドロとわき出て、メルの胸を汚した。意識が白い。なにもない。おっぱいがある。目の前にまだおっぱいがある。これはミルちゃんのおっぱい。
にゅる、にる。
ペースを落としながら、メルの胸が残った精液の一滴まで絞っていく。丁寧に、ゆっくりと。イってすぐのペニスが気持ちいい。ひざが痙攣している。息をしている。快感はまだ続いている。
「今日はイかせるためじゃないって言ったよね。ほーら。まだまだ、優しくしてあげるからね? イっちゃったあとのパイズリも、すごく気持ちいいんだよ?」
ずりゅり、ずる。
びく、びく。体の痙攣がおさまらない。気持ちよすぎて止まらない。幸せすぎて何もわからない。
「今日は一日ずうっとしてあげる。ふふ、耐えられるわけがなかったね。変態な勇者くんはサキュバスのおっぱいにぷにぷにされて、すりすりされて、興奮しちゃって。わたしたちに堕ちちゃったね。でも好きだよ。そんな勇者くんが大好き」
メルの手は止まらない。おっぱいも止まらない。
「わたしにも今度、もしよかったら、その、くださいね、勇者さん」
顔を覆うミルちゃんの手は止まらない。おっぱいも止まらない。
ゆっくりとした動きが止まらない。湯船に浸かるような心地よさが止まらない。ゆったりと、ただゆっくりと。気持ちよく。気持ちよく。
それから、何度か射精をしたのかもしれないし、していないのかもしれない。何もわからないまま、最高の気持ちよさの中で、いつのまにか俺は意識を手放していた。
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